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2013.09.11

第五回九州戯曲賞審査員選評等について

下記の通り、第五回九州戯曲賞審査員選評等を公開します。

第五回九州戯曲賞審査員選評 PDF

第五回九州戯曲賞審査過程  PDF

2013.09.03

コラム|なぜその土地で芝居をするのか?(佐賀)

皆さま、こんにちは。

私は、佐賀演劇連盟のホームページやブログ、Facebook等で佐賀演劇の情報発信をしております、瀬崎智子と申します。今回のコラムでは、なぜその土地で芝居をするのかを大きく「場所」と「人」という2つの観点から考えてみたいと思います。

「なぜその土地で芝居をするのか?」
皆さまも1度は考えたことがあるのではないでしょうか。

「生まれた場所がそこだった」
「ここでしかできない芝居がある」
「たまたま流れ着いた」

いろいろな理由が皆さんそれぞれにあるのだと思いますが、なぜ私が、もしくは佐賀演劇人が佐賀で芝居をするのか?疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。佐賀県は全国からの認知度が低く、九州7県の中でもなかなか名前が出てこないという方も多いと思います。人口も約85万人と全国順位では下から数えた方がはやい位置にあります。正直、役者もスタッフの数も十分とは言えません。
しかし、それでも佐賀で芝居をするのは「場所」と「人」という大きな支えがあるからだと思います。

◆佐賀の「場所」について
もう少し細かく「稽古場所」「公演場所」「交流場所」に分けてみます。
・佐賀で芝居の「稽古場所」といえば、公民館です。佐賀の公民館は無料のところが多いのでとても助かります。無料の駐車場が併設されているのも、ありがたいことです。また、公民館を通してその地域の方々との交流が生まれることもあり、佐賀の演劇人にとって、とても大切な場所となっています。また、佐賀演劇連盟に加盟の「劇団Ziシアター」や「劇団とんとこパピィ」などは自身の稽古場や倉庫を自分達主催の公演ではない時にも、他の団体・個人に提供したりと横の連携があることも佐賀の特徴といえると思います。

IMG_0098・佐賀の「公演場所」はバーや喫茶店から小、中ホールと数は多くはないものの、そのどれもが他県に比べれば安く使用することができます。
例えば、連盟に加盟している「金曜ショー劇場」、通称「金ショー」。今年で15年目になるのですが、その15年間、場所を提供してくださっているのが佐賀市にあるバーでライブスペースでもある「FRONTIER」です。この場所は佐賀の演劇人にとって家、HOMEとも言えるところです。【写真①-2013年8月金ショー 連盟加盟の「斜陽」より 撮影:SEN】
また、連盟加盟の「劇場STAGE MARO」、通称「ステマロ」は、若手の劇団や他県からの劇団公演を行いやすい、手ごろな広さと料金を提供しています。IMG_0098公演だけでなく、稽古や交流会の場にもなっており、深夜まで使用できるというのも大きな魅力といえるでしょう。【写真②-2013年8月 演劇ユニット「のきっぴ!!」より 撮影:SEN】
昨年2012年には、唐津市の町屋カフェ「ぜん」の2Fに「響く乃間」という日本情緒あふれる雰囲気の良い芝居空間もできました。連盟加盟の唐津演劇集団「響」は、そこで芝居だけでなく落語や朗読といった企画も行っています。【写真③-2012年12月 第1回唐津演劇フェスティバルより 撮影:SEN】IMG_0098

・佐賀の「交流場所」といえば先ほどもご紹介した「劇場STAGE MARO」で月の第1水曜日に行われている「佐賀演劇交流会」があります。演劇交流会と名は打っているものの、バンドマンやマジシャン、何もやっていない人もOKの、なんでもありの交流会です。佐賀演劇連盟にくる個人や団体の窓口にもなっていて、他県からも交流に来られます。ブログやFacebookなど多くのSNSが交流の中心になろうとしている中でも、貴重な人と人との生の交流の場となっています。

◆佐賀の「人」について
佐賀演劇は役者やスタッフの数が少ないこともあり、個人や劇団が比較的つながりやすいといえます。そのつながりから衣装や小道具等のモノの貸し借りが行われたり、役者やスタッフの行き来も生まれています。特にスタッフに関しては個人で複数の団体の裏方に関わっていたり、役者の体のメンテナンス的なことをボランティアでしてくれる人もいます。

このようなことからみても、なぜ佐賀で芝居をするのか?という問いに対して、あらためて答えるまでもないような気がしてきます。芝居をするには佐賀は恵まれた地と言えるのかもしれません。しかし、その「場所」も「人」も努力なしには存続し得ないということを認識しなければならないと思うのです。
例えば「公演場所」は、安く提供できるのには理由がいくつもあって、「FRONTIER」はマスターやスタッフの方の芝居への深い理解があってこそですし、劇場は個人的にお金を出して存続させてくださっていたり、ほぼボランティアで管理してくれる人がいるからこそ、その価格で提供できています。「交流場所」としての「佐賀演劇交流会」も、この6年間、個人的に毎月毎月開いているもので、その継続力には頭が下がります。こうした努力と愛のもとに佐賀の芝居は続いてきました。ひとえに佐賀で芝居をしてほしいとの想いからです。
「なぜ佐賀で芝居をするのか?」は「なぜ佐賀で芝居ができるのか?」ということと向き合っていくということでもあるのです。

「なぜその土地で芝居をするか?」は「なぜその土地で芝居ができるのか?」ということ。だからこそ、その地で芝居を継続できるしくみを誰かではなく、一人ひとりが考え行動していかなくてはならないと思います。その土地で芝居ができることは、当たり前ではないのですから。
そして、未来のその地の演劇人たちが「なぜその土地で芝居をするか?」を越え「なぜその土地で芝居をしたいのか?」と考えるような地になるよう『想い』を残していきたいと思うのです。

最後に佐賀演劇の広報を少しだけ。佐賀演劇連盟にはコラムにあげた他にも団体・個人がおります。よろしければ下記アドレスをお暇な時にでも覗いていただけると、嬉しいです。また「佐賀演劇交流会」は、月の第1水曜日に「劇場STAGE MARO」で行われています。佐賀県の方はもちろん、他県の方も大歓迎です。ぜひぜひお越しください。
それでは、まだまだ暑い日が続きますが、皆さまお体ご自愛ください。

●佐賀演劇連盟HP: http://www.stagestage.com/
●佐賀演劇連盟ブログ: http://yaplog.jp/saga_gekiren/
佐賀演劇連盟Facebook
文:佐賀演劇連盟 瀬﨑智子