2018.11.04
コラム|九州の演劇シーン/地域の演劇に関わって感じること(福岡)
九州地域演劇協議会さま、そしてこのコラムを読んでくれている皆様、こんにちは。北九州でkitaya505という舞台制作会社をやってます北村功治です。
舞台制作って???って方がいらっしゃるかもですね。舞台制作てのは、公演の企画や運営、予算管理、そのほかモロモロ、劇場にはいったら舞台上以外の雑務なども引き受けたりする事務方の何でも屋です。
北九州で公演されるの県外の団体さんの受け入れや、九州の団体さんが九州外で公演する際のコーディネートなどが主な業務です。最近は、舞台芸術を用いて街を元気に!なんてプロジェクトにも関わってきました。以上の業務終わりのひとり打ち上げがもうたまらん大好きです。
もしかしたら、「『mola!』という演劇情報サイトをやってる会社です」と説明するのが一番伝わるかもですね。“九州の演劇情報をモーラ!する”というコンセプトではじめたmola!も12月で丸4年になります。これまでに1300~1400本の記事をリリースしてきましたが、まだまだ網羅出来ていませんので、まだまだmola!します、よろしくお願いいたします。
仕事柄、他地域での公演や舞台芸術に関わる機会がい多い身としては、モノや情報や人が集中する大都市は例外としても、九州の演劇は非常に活発で恵まれた環境だなぁと感じています。
9月に福岡で開催されたばかりの九州演劇人サミットは長年、「九州の演劇」や「地域の演劇」を強く意識したシンポジウムやワークショップ、公演などを開催しているし、北九州芸術劇場や宮崎県立芸術劇場が行っているプロデュース形式の公演、熊本では実行委員会形式で行われている『DENGEKI』、宮崎の三股町では九州演劇の物産展といった趣の「まちドラ!」など九州の舞台芸術を強く意識した公演や催しも存在します。こうして挙げてみると、「大都市は例外としても」と書きましたが、「大都市にはない九州固有の恵まれた環境がある」と表現したほうが良いかもしれません。
今年は特に九州の劇団さんが、九州を飛び出て活発に活動していると感じています。宮崎の劇団こふく劇場は全国10箇所ツアーを敢行中。北九州のブルーエゴナクは、5月にせんがわ劇場演劇コンクールに参加後、9月はこまばアゴラ劇場で上演、12月にはロームシアター京都で新作の上演。熊本の劇団きららは熊本・福岡・東京ツアーを先日発表されたばかり。
そのほか、演劇集団非常口(鹿児島)、万能グローブガラパゴスダイナモス(福岡)、不思議少年(熊本)、が九州外でのツアーを控えており、様々な団体さんが九州の演劇を発信することになっていますね。また、長崎のF’s Companyは九州を飛び出てではなく、「アトリエPenta」という拠点で田上豊(田上パル)さんやごまのはえ(ニットキャップシアター)さんという九州外のアーティストを迎えての創作と発表を行います。
そもそも「九州の演劇」や「地域の演劇」ってなんなのでしょうか?九州の団体さんの活動をさらっと紹介しましたが、すべて九州の団体の活動ではあるけれど、どれもそれぞれ固有の作風・カラーで勝負されてます。もしかしたら、、、ですが「九州の演劇」や「地域の演劇」というのは、その土地の人がその土地やその人の事情で演劇に関わったら「こんなんなりました」って結果くらいなのかもしれません。九州は、そういった過程や結果を語り合い、披露し合い、次に繋がる何かが上手に機能しているのかもしれませんね。
先程、紹介した団体さんでもう少し紹介したい団体さんがあります。
鹿児島は焼酎処で有名な「伊佐」という人口25000人の土地があります。県外から伊佐を訪れるなら、日に何本かしかないバスに乗って……というような場所に伊佐は存在します。
そこで17年活動している演劇集団非常口が、初の九州外公演を東京はこまばアゴラ劇場で11月に行います。作・演出の島田佳代さんは、九州戯曲賞大賞を受賞するなど劇作家としての評価はされてきましたが、今回は劇団として大きな挑戦と言って良いのではないでしょうか。
島田さんは、今回の挑戦を以下のように述べています。「町でひとつの劇団ということもあって温かい目で観ていただけることも多く、人にも環境にも大変恵まれています。今回、初めて九州を飛び出してみることにしました。温かさから離れ、自分たちのことを全く知らないお客様にも作品を観ていただきたいと思いました。自分たちが創ってきた演劇がどう受け止められるのか、受け止めてもらえるのか、楽しみで、そして怖いです。怖いけれど、今がきっと挑戦するべき時だと思うのです。17年間の活動を信じて、挑みます。」
もしかしたら、「九州の演劇」や「地域の演劇」ってのは島田さんのこの言葉に集約されているのかもしれません。
各地で演劇に携わっている方々が、なんやかんやがんばっているので「じゃあボクも」という気持ちになります。
合同会社kitaya505 代表:北村功治