2022.02.28
コラム|宮崎県北部のここ最近の演劇事情(宮崎)
はじめまして。宮崎の演劇ユニット「あんてな」代表の本田泉です。ユニット「あんてな」は、夫である本田誠人(劇団ペテカン)と2人で2010年に旗揚げし、宮崎の役者さんや表現者の方々とプロデュース公演を行ってきました。2021年1月に本田誠人が他界し、現在は8名のメンバーで演劇やイベントなどの活動をしています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響はとても大きく、我々も打撃を受けました。2020年は、決まっていたホールでの公演が2本、学校公演が7公演中止となりました。2021年は学校公演が、以前の3割ほどに激減しました。
稽古や準備に長期的に取り組む「演劇」は、稽古ができなければもちろん公演もできません。感染者数が少し落ち着いてきたと思ったらまた増えて「せっかく稽古したのに公演ができない。」となり、動けない日々が続いていたら少し減ってきて「あ~、今なら公演できそうだけど、準備ができていない・・・。」こう思った人はたくさんいるのではないでしょうか。しかも、演劇はただでさえ採算が取れない世界です。自分たちでホールを借りて公演を行っている劇団はとても苦しんだ2年間だったと思います。公演ができるかわからない、しかも集客も難しい、それに加え周りの視線も気にしながらの活動。リスクがありすぎて身動きがとれない団体もあります。
県北の現在の状況を関係者の方に伺いました。延岡市の「劇団すいとどうかにち」は、昨年は劇団としての活動は出来なかったものの、日向市で上演された国民文化祭の舞台に参加したことで演劇に関わることができたそうです。今年は10月の自主公演を目指し稽古を開始しましたが、その直後に発令された蔓延防止等重点措置のため、今は稽古を休止しています。
門川町文化会館の事業でやっている演劇ワークショップ「かどがわ演劇の広場」は、半年以上かけて練習してきましたが、公演は延期か配信になるとのこと。子ども達やスタッフさんが、この本番に向けてたくさんの情熱を注いできたと思うと心が痛みます。コロナのやっかいなところは、2週間後どうなのか、1ヶ月後どうなのか、それさえも予想しにくいところ。演者だけでなく、技術関係者の皆様、ホールの方、関わる全ての方々がストレスを抱えながら動いています。
劇団以外にも、県北で個人で活動している役者さんもおられますが、やはりコロナの影響で活動は見合わせている方が多いようです。
先ほども書きましたが、国民文化祭の様な大きな行事があったから演劇をすることができた方々もいらっしゃいました。私もその一人です。2021年は宮崎県で国民文化祭が行われました。亡くなった夫が関わる予定だった「ミライステージ」の演出を、私が引き継いでやらせていただいたのですが、このコロナ禍で演劇に関われたのはありがたい事でもありました。冒頭でも書きましたが、バックアップや助成金なしでの自力公演はかなり厳しい状況だったからです。そういった意味では、活動が出来た人と出来なかった人が大きく分かれた、とも言えるのかもしれません。
国文祭・芸文祭の「いざや、みやざき宵まつり」の「ミライ・ステージ」で上演した演劇「群青」 の写真
コミュニケーションが取りにくくなっている今、もっと情報交換や共有ができるといいなと思います。そして何より、こんな時代だからこそ誰かに会いたい!話しがしたい!みんなで稽古したい!オンラインがいくら発達してもやっぱり仲間との呼吸や間を感じながら稽古したい!「最近どう?」「元気にしてる?」そんなたわいもない会話がしたい。
こんな時期ではありますが、
本田泉(ユニット「あんてな」代表)