Home > 4月, 2025

2025.04.03

コラム|まだ見ぬ世界に出会うために(鹿児島)

鹿児島で活動している即興グループ七味唐辛子代表の市園千尋と申します。

さて突然ですが、即興グループとはなんぞやと思われる方もいらっしゃると思います。
私たちは『即興演劇のみの公演』を続けている団体です。お客様にはよく『台本なし、設定なし、打ち合わせなし』とご説明していますが、まっさらな状態から何も決まっていないラストに向かって物語を紡いでいく演劇を2007年から継続的に行っています。
全国的に見れば即興演劇(インプロ)のチームはたくさんありますが、鹿児島では唯一のチームです。月に一回ワークショップを行ったり、県外からゲストを招いて公演を行ったりと鹿児島の方に即興演劇の魅力を知ってもらうための活動も行っています。(自分たちが面白そうと思ったことをただやっているだけというのもありますが)

即興グループ七味唐辛子 メンバー

即興演劇の面白さはメンバーに聞いてもそれぞれ違うと思いますが、私は「今のありのままの自分を使って芝居をする」ことだと思っています。今まで自分が経験した出来事や感情、また出会った人々、興味があること、そんなたくさんのものを自分の宝物として持ち、舞台上で生きる。それをするには取り繕わず、自分をさらけ出す必要があります。そしてドラマを作るには、同じく今のありのままの自分を持ってきた相手としっかり関わるということは避けられません。正直、稽古ではこれが要になっているところもあります。

人と関わることが希薄になっている今の時代には難しいことかもしれません。ただこれが観る側にとっても、演じる側にとっても面白く魅力的なのです。

コロナ禍で停滞せざるを得なかった演劇シーンを盛り上げていこうと2023年から2024年にかけて鹿児島演劇協議会主催の『鹿児島演劇見本市』が開催され、今まで演劇を観たことがない方々にもたくさんの演劇を観てもらうことができました。また、七味唐辛子の活動も多くの方に知ってもらうきっかけになりました。見本市以降、各劇団の公演も活発になり、見本市をきっかけに各劇団の公演を観るようになったというお客様も多く、今、鹿児島の演劇は盛り上がっています。

『鹿児島演劇見本市』即興グループ七味唐辛子 舞台写真

演劇を観るということは、生の感情を目の前で感じることができる機会です。物語はフィクションでも、演じる側が嘘であっては観客が冷めてしまいます。その熱がたくさんの方に伝わった結果だと思うと非常に嬉しく思います。演劇を観る、演劇をやってみることで新しい世界が広がること。その先にまだ見ぬ誰かとそしてまだ見ぬ自分との出会いがあること。これは七味唐辛子が活動を行う上で大事にしていることの一つです。この先も鹿児島でたくさんの出会いがあるような演劇をお届けしていきたいと思います。

市園千尋(即興グループ七味唐辛子代表)