2014.11.16
コラム│賞に応募を続けて見えてきたこと(福岡)
福岡を拠点に活動している劇団HallBrothers主宰の幸田真洋です。
劇団HallBrotgersは1999年に結成。今年で15年になります。そしてその節目の年に、九州戯曲賞大賞をいただきました。やったー!…年甲斐もなくはしゃいでしまいました。すみません。
7月に受賞してから今まで、ずっとはしゃぎっぱなしです。やはり、率直に嬉しい。
過去四回応募してきましたが、一度も最終選考に残ることはなく、つまり全くかすりもせずに落選してきました。
それが初めて最終選考に残ったかと思ったら、大賞まで頂いたのですから・・・嬉しいに決まっています。もう一回はしゃぎます。やったー!
・・・とはいえ、もしかしたら、これが奇跡の一回だったのかもしれません。
なんてことを考えると
「この先、大丈夫だろう?ちゃんと良い作品が作れるのだろうか」
とドキドキしてしまいますが、いやいや、そんなことはないと自分に言い聞かせています。
四度落選した経験が、地力を高めてくれたはずだ、と。
一番最初に応募したのは2008年の第一回の時でしたが、当時は、今思うと何も考えていなかったです。なんとなく本を書いて芝居を作っていました。
それなのに根拠のない自信ばかりありました。最終選考くらい、軽く残るだろう、と。
それがあえなく惨敗。
送られてきた一次審査員の講評を見て、初めて自分の考えの足りなさ、浅さに気付きました。
人間は自分が見たいものしか見えません。
その事に気付かせてくれるのは、他人からの客観的な評価です。
「あ、そういう見方、してなかった・・・」
「そんな細かいとこ、考えてなかった・・・」
「そういうところまで考えなくちゃダメなの・・・?」
などなど・・・
自分に都合のよいようにしか戯曲を見ていなかった事に気付かされました。
それから、僕は生まれ変わ・・・れませんでした。
「でも、お前に見る目ないんじゃないの?」
など、自分に都合がいいように言い訳を重ねてきました。
そして、知り合いの演劇人が最終選考まで残るのを見るたびに、嫉妬と悔しさばかり募らせていったのです。
けれど、さすがに何度も落選していると、自分に問題があるのではないかという事を認めざるを得なくなりました。
それから、自分の作品に対しての見方が少しずつ変わっていき、結果に繋がったのかな、と思います。
言い訳したり、あきらめたり、考えなかったり、甘い自己弁護だったり・・・
戦わなければいけないのは自分だという事に気付かせてくれた九州戯曲賞は、僕にとって大きな存在です。
そして、新たな出会いの場にもなりました。
受賞作『となりの田中さん』を12月11日(水)から23日(火・祝)まで、ぽんプラザホールでロングラン公演をするのですが、その中で最終選考委員を務めていただいた岩松了さんとアフタートークをさせていただくことになりました。
岩松さんに芝居を観てもらえて、その上、アフタートークまでしていただけるなんて、九州戯曲賞がなければ実現しなかったことです。
最後に、こういう機会を与えてくださった九州戯曲賞を支えるすべてのみなさま、ありがとうございました。
(劇団HallBrothers主宰 幸田真洋)
[…] 賞を設けた場合、当然だが大賞という部分にスポットがあたりがちになる。「九州戯曲賞」は、第一回から応募者全員に一次審査の講評を届けており、最終選考に残らなかった多くの応募者・応募作に対しても、今以上の創作活動を続けていくためのケアを行っている。このことが実際に血となり肉となった実例として、第6回大賞受賞者である幸田真洋(劇団HallBrothers主宰・福岡)を挙げることができるのではなかろうか。詳しくは、コラム「賞に応募を続けて見えてきたこと」を参照してほしい。 […]
Posted at 2015.05.10 1:01 PM by 特集:九州地域演劇協議会(第2回) | 九州の演劇情報をモーラ!するニュースサイト【mola!】