2012.06.26
ここ20年ぐらいの長崎演劇界をひとことで言えば「激変」じゃないかと思います。僕が演劇を始めたのは21年前。ピチピチの高校演劇少年でした。その頃は社会人劇団がいくつもあって20~30代の演劇人を中心にバリバリ公演が行われ、大学の演劇部も全盛期で、今では考えられないくらいの観客動員数を誇っていました。「演劇バブル」ってヤツです。だけど、戯曲は既成の物しか使わず、社会人劇団でも学生演劇部でも、劇作家と演出家がいて作品を作るというスタイルは長崎の中では稀なものでした。
ターニングポイントは『新しい劇場』の出現。長崎市には1998年に長崎ブリックホールが、佐世保市には2001年にアルカスSASEBOが建設され、演劇人と劇場とが共同作業を始め、県外の演劇人と出会うことで人も育ったし意識も改革された。自らが戯曲を創作し作品を作るという劇団が増え、それに続く学生劇団も出てきた。それと共に演劇に関わる人も増え、関わり方にも幅が出てくる。戯曲を書く人、劇団には所属できないけど劇場の企画で舞台に立つ人、音楽やダンスの表現をしながら役者をする人。多様な演劇人は、ときに表現者となり、ときに観客となる。そしてそれら多様な演劇人と繋がる人達が観客となり、またその繋がりへと広がりを見せる。劇場と劇団が連携をした活動が演劇に関わる人達を増やし続けてきたのです。
県外公演をする劇団が増えたというのも大きな変化です。長崎の劇団が、九州の各地へ、東京へ、大阪へと公演に出かける。地元以外の地域で公演することでスキルアップし、そこで得た物を地元に還元する。また同時に県外の観客が長崎の公演に足を運ぶようになる。まるで鎖国の時代から開国へと進んだ歴史のように、開かれた演劇状況が長崎に生まれてきました。
そうした状況の中、この度『長崎県演劇人協議会(NECO)』が発足致しました。この流れを加速させ、強度を上げるため、そして次の世代の長崎演劇人のための結束です。九州演劇人サミットや他県の演劇人との出会いで受けた刺激や化学変化を、長崎の中で作り出すことが出来れば「長崎の演劇シーン」と呼ばれるようなものが出来ると思うのです。良い作品を作るライバルであり、共に演劇に携わる仲間である僕らが手を取る始まりの一歩。組織を作って終わりでは意味がないので、ココから何を生み出していくのか?何を築き上げていくのか?それが大切になってくると思います。
目指すはまだ見ぬ新大陸。目の前に広がる可能性の海に期待と不安を抱えながらの航海となりますが、どうか温かく見守っていただけたらと思います。
文:福田修志(長崎県演劇人協議会 事務局長)
2012.05.06
福岡は、5月の3,4日と、博多どんたく港まつりでした。歴史は長く、今年で833年目とのこと。博多どんたくが一段落して夏がやってくると、ぽんプラザホールのご近所である櫛田神社を中心に、福岡、博多は7月15日の博多祇園山笠に向かって突き進みます。
九州地域演劇協議会が主催している「九州戯曲賞」は、今年、この二つの祭りを挟みこむようにして実施されます。この3点を結ぶ共通点を敢えて見出そうとすると、「明太子をつくってよかった」でおなじみの味の明太子ふくやです。「九州戯曲賞」は設立当初から株式会社ふくやからの協賛をいただいています。地域文化への理解が深い地場企業があるということは非常にありがたいことであります。
九州戯曲賞は、2009年から始め、今年で4回目となります。2012年5月15日消印有効となっています。締め切りまであまり間が無いですが、まだ間に合う日程です。もし、身近に九州の劇作家がいらっしゃいましたら、お勧めしてみてください。今回の最終審査は、九州出身の第一線で活躍する劇作家の5名、岩松了、中島かずき、古城十忍、横内謙介、松田正隆(敬称略)にお願いしています。
さて、福岡の演劇状況です。公演カレンダーを見てみると、毎週末何かしらの公演がどこかであっているようです。私が学生をやっていた15年くらい前の公演数は随分と少なく、楽しみにできる公演も年に数回という感じでした。演劇を志す多くの若者は東京を目指し、演劇を続ける場合は、どこで続けるかということを否が応にも考えなければいけなかったのかなぁと思います。私の高校演劇での仲間はやはり東京へ行き、その反発かはわからないけれど、東京の演劇シーンをろくに調べようとせず、私は絶対東京には行くものかと思ったものです。
今では福岡の演劇公演も随分と増え、年に数回ではあるけれど、公演を「選ばなければならない」という贅沢も味わえるようになりました。一方で、少子化のことも考えると、普通にやっていると、この先劇団は増えにくいのではないのかなぁと予想されます。大学演劇部は合同公演などを通して、卒業後に劇団を旗揚げするという現象が戻りつつありますが、高校の演劇部は最近元気がないと聞きます。将来の年代格差を防ぐ意味でも、これからの若い世代に対して、現役の私達が有効にアプローチできる方法を探さないといけません。
遠い未来の私たちの子孫が振り返った時に、833年とは言わなくても、長い歴史があるらしいと自慢できるものの一端でも担えたら素敵です。そういう歴史を作れるのは、文化に他ならないと思います。まぁ、そう言った心持ちでやっていると、壮大かなぁと思うわけです。
文:本田範隆(九州地域演劇協議会 前理事長)|NPO法人FPAP
2012.04.30
「サミット」ってよく耳にする言葉ですけど、そして何となく「首脳会議」のことだと思い込んで使っていたんですけど、改めて調べてみると「山頂」っていう意味なんですね。各国の首脳陣を山頂に準えて、ということだったのか。
2005年に熊本で開催された日本劇作家大会のイベントのひとつとして「九州演劇人サミット」は産声を上げました。九州各地域の演劇人や、九州出身の劇作家・演出家の方々が一堂に会して、それぞれの地域の演劇事情について話したり、地方ならではの、いままさに直面している問題について討議をし、中央で活動する先人の意見をうかがったりしました。「各地の演劇人が一カ所に集う」という、この単純明快・いたってシンプルなイベントが生み出した熱量は、想像をはるかに上回る盛り上がりと手応えを感じたことを思い出します。そして第2回サミットの福岡開催の話へトントン拍子に運んだように記憶しています。
その後、第3回・長崎、第4回・宮崎、第5回・佐賀、第6回・鹿児島、第7回・大分…と一巡り。開催地域によって、さまざまな関連事業も行われました。演劇ワークショップ、ワークショップ参加者やパネリストによる出し物など毎回趣向を凝らした内容で、大いに賑わいました。と同時に、そのそれぞれのイベントから各県の演劇シーンの動向なども垣間見えて、とても興味深いのです。この県はこんなタイプの演劇が今主流なんだなぁとか、独自の地域性だったりとか、「へぇ!そうなんですか!?」と驚くこともしばしばです。
サミットの後は、交流会もあります。パネリスト、地元演劇関係者、参加者(ワークショップ参加者、観客も含みます)でごった返す交流会は壮観。新しい出会いあり、サミットでは語られなかった裏情報?やさらに突っ込んだ議論が展開されることあり!尽きない演劇トークの応酬の中、夜は更けていくのです。
九州を一周したサミットは、前回の第8回で福岡に舞い戻り、次回はサミットの生まれた場所熊本に帰ってきます。一周して見えてきた九州の演劇シーン。今度の熊本サミットでは、「地域演劇人」の立場から「表現者視点からの地域演劇観」に少し深く突っ込んでいけたらと考えています。県を跨いだ合同公演や年代別の地域演劇論をテーマに、5人のパネリストと熊本の若手演劇人の間で熱いトークが繰り広げられることを今から楽しみにしています!
九州にもたくさんの演劇人という名の「山頂」が居て、それがこのサミットを通して繋がり「山脈」を成して行く。そんな九州演劇山脈を、九州圏内だけでなく全国から観に来てもらえるような、面白いイベントになっていけばいいですね!
文:河野ミチユキ(九州演劇人サミットin熊本コーディネーター)|熊本演劇人協議会
九州演劇人サミットin熊本
それぞれ活動していた九州内の地域演劇に、
ゆるやかなネットワークができ、
その延長線上に九州地域演劇協議会は設立されました。
九州各地で活躍する演劇人が一堂に会し、
演劇活動の現状・課題・展望などを共に語り合う場として年に一度開催している、
「九州演劇人サミット」も各県持ち回りでスタートし、7県全てを一巡しました。
より新鮮な話題を定期的に発信していくため、
本サイトで、各県持ち回りによるコラムを配信したいと思います。
九州の演劇シーンを垣間見られるような内容になれば幸いです。
(九州地域演劇協議会事務局)
2012.04.29
九州戯曲賞の応募に際しての、よくある質問に対する回答をまとめました。
Q:昨年書き上げた戯曲ですが、今年上演しました。それでも応募可能ですか。
A:応募可能です。上演の有無は応募対象に影響ありません。
Q:数年前に書き上げた戯曲を昨年改作しました。応募可能ですか。
A:応募できません。新作が応募対象の作品です。昨年かきあげた作品を昨年中に改作した場合は応募可能です。
Q:提出にあたり誤字脱字や変換ミス等をみつけました。修正は可能ですか。
A:修正可能です。誤字脱字・変換ミスの修正、作品そのものではなく文としての誤りの修正は可能です。国内の戯曲賞の選評においても誤字脱字の多さが指摘されるケースがあります、読む立場でのご確認をお願いできますと幸いです。
Q:ページ数は入れたほうがいいですか。
A:なくても応募可能ですが、落丁等を防ぐ意味でもページ数をいれていただけると助かります。
Q:応募戯曲はどうやって綴じたらいいですか。
A:綴じ方は自由ですが、ダブルクリップの一点留めがもっとも助かります。製本等は不要です。
Q:応募票は4部必要ですか。
A:応募票、表紙共に4部必要です。
Q:応募票の「作品のあらすじまたはねらい」にはどのようなことを書けばいいのでしょうか。
A:審査員の読み方によって変わってきますので一概には言えない部分です。あらすじが書きにくい場合、ストーリーやドラマ性に重きをおいていない作品の場合は、どのような演劇的成果を狙っているのかわかるように書くのがいいように思われます。
Q:自分の戯曲の講評を見るのは苦手なのですが、応募できますか。
A:応募できます。一次審査員の講評が不要な場合は、応募票の「講評不要」の欄にチェックをいれてください。
Q:直接、戯曲を提出してもいいのでしょうか。
A: 直接の提出は受理できません。書留郵便、配達証明郵便、または宅配便など配達の記録が残る方法での応募に限定しています。
Q:締切日にしか投函できそうにありません。間に合いますでしょうか。
A:消印が締切日であれば大丈夫です。
Q:劇作家が対象となっていますが、一般からは応募できないのでしょうか。
A:自らを劇作家と認めた方であれば応募可能です。年齢・プロ・アマを問いません。
(2014/5/26追記)
(2015/4/22更新)
2012.04.05
九州演劇人サミット in 熊本
ぐるっと九州まわって生まれた場所に帰ってきました
【パネリスト】
高野桂子(village80%・福岡)
福田修志(F’s Company・長崎)
亀井純太郎(第七インターチェンジ・熊本)
神水流じん子(劇団25馬力・宮崎)
島田佳代(演劇集団非常口・鹿児島)
【コーディネーター】河野ミチユキ(ゼロソー・熊本)
日本劇作家大会2005熊本大会から始まった九州演劇人サミット。
九州各県で活躍する演劇人が集まり、各地域の演劇を取り巻く環境、
それぞれの活動や展望を語るサミットが今年、熊本に帰ってきます!
サミットが始まった当時から環境は刻々と変化を遂げ、九州内の地域演劇人の交流はより深まり、
県を超えた合同公演、他地域での公演も増えています。
だからこそ、あえて言ってみる。「私たちは果たして手をつないでよかったのか!?」。
7年前の初サミット時はまだ知り合っていなかった「若手?演劇人」が、
今ここから見える展望を、それぞれの視点で語りたいと思っています。
【日時】2012年6月2日(土)16:00(開場は20分前)
※サミット終了後には交流会(要事前申込)も開催します。
【会場】スタジオ山脈(やまなみ) (西辛島町電停すぐ)
【参加費】1,000円 ※交流会参加費は別途3,000円(場所未定)
【参加定員】 50名(先着受付)
(詳細)
九州演劇人サミット in 熊本
http://summit.kyogikai.net/
2012.04.01
九州地域演劇協議会では、九州の地域演劇の活性化のため九州戯曲賞を創設、作品を募集します。
詳細は、下記募集要綱をご覧下さい。
九州の劇作家からの応募をお待ちしております。
九州戯曲賞 募集概要
・対象作家
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県に在住、またはこの7県を主たる活動の場とする劇作家。
・対象作品
2011年の1月から12月までに書き下ろした作品。
・大賞賞金
50万円(佳作、奨励賞等の賞を設置することがあります。)
・応募締切
平成24年5月15日(火)(当日消印可)
・最終審査員
岩松了、中島かずき、古城十忍、横内謙介、松田正隆
主催:九州地域演劇協議会|NPO法人FPAP
共催:公益財団法人大野城まどかぴあ
協力/財団法人福岡市文化芸術振興財団・公益財団法人久留米文化振興会・
公益財団法人佐賀市文化振興財団・長崎市・財団法人大村市振興公社・
公益財団法人熊本県立劇場・財団法人大分県文化スポーツ振興財団・
財団法人宮崎県立芸術劇場・一般社団法人日本劇作家協会
協賛:株式会社ふくや
公益社団法人企業メセナ協議会助成認定事業
募集要綱|pdf
応募票 |pdf word
2012.03.19
九州戯曲賞への作品を募集します。
募集要綱は、4月頭に本サイトにて公開予定です。
九州の劇作家からの応募をお待ちしております。
九州戯曲賞 募集概要
・対象作家
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県に在住、または主たる活動の場とする劇作家。
・対象作品
2011年1月から12月までに書き下ろされた作品。
・大賞賞金
50万円(佳作、奨励賞等の賞を設置することがあります。)
・応募締切
平成24年5月中旬を予定
2011.10.13
2011年10月1日九州地域演劇協議会理事会を開催し、次回、九州演劇人サミット開催地である熊本から堀田清 (熊本:熊本演劇人協議会)が理事長に選任されました。その他の役員の改選を以下の通り行いました。
理事長 堀田清 (熊本:熊本演劇人協議会)
理事 清末典子 (大分:おおいた演劇の会)
理事 仮屋園修太 (鹿児島:鹿児島演劇協議会)
理事 岩崎香代子 (佐賀:佐賀演劇連盟)
理事 黒木朋子 (宮崎:宮崎県演劇協会)
理事・事務局長 高崎大志 (福岡:NPO法人FPAP)
監事 福薗宏美 (鹿児島:鹿児島演劇協議会)
監事 工藤和之 (大分:おおいた演劇の会)
2011.08.22
下記の通り、第三回九州戯曲賞審査員選評等を公開します。
第三回九州戯曲賞審査員選評 PDF
第三回九州戯曲賞審査過程 PDF